カテゴリ:考えたこと( 5 )

日本画に戻ってみた

学生時代から日本画を描き続けてきたのですが、数年前に日本画をやめたくなってやめました。

美大を卒業するとき、日本画を描き続けるという道を選んだのは35人のクラスの中でほんの数名で、ほとんどの人が学校を卒業すると同時に日本画をやめたのでした。そういうクラスメートを見て「なぜ?」と思ったのですが、おそらくみんな絵描きにはなりたくなかったのでしょう。

そんな絵描きの道を進んだ数名の中の何人かはいわゆる日本画の画壇の中で絵を売るということを始めました。私には日本画の画壇で絵を売るということに嫌悪感しか感じられず、クラスメートにも日本画にも嫌気がさしたのです。それとほぼ同じころ、日本画以外の画材を使っている絵描きの友人ができました。一緒にグループ展もしました。そんな人たちに触発されて日本画以外の画材を使ってみたいという気持ちがわきました。

水彩絵の具を使ってみたり、木炭や鉛筆やペンでドローイング、最近ではアクリル絵具をペインティングナイフで描くということをしてきたこの数年。何回か個展をしましたが結果は出ませんでした。今、思っているのは私にとって簡便な材料は簡便な結果しか生まないということです。アクリル絵具を使って描くと、技術のない私でもはっきりくっきりした力のある表現ができると最初は感じて「これだ!」と思ったのですが、アクリル絵具で描いた絵をしばらく眺めながら暮らしていたら、やっぱりこれはビニールの膜だなと思わざるを得ませんでした。

岩絵具だって今は工場で作られているんだし、伝統と言ってもどこからが伝統なのかもよくわからないことです。でも現代の中でこそ素材に息づくものの大切さを求めている人もいるのだということを感じます。私がいろいろ不満を感じながら続けてきた日本画の技法というものは今となっては自分の宝なのかもしれないと思うようになったのです。

あいかわらず岩絵具の扱いは難しいですが、再チャレンジします。

f0378473_13113720.jpg


[PR]
by yab1610 | 2016-12-03 13:13 | 考えたこと | Comments(0)

アクリル絵具って

昨日は大学の同級生、ふじこの個展とうつぼの個展を京橋界隈に見に行きました。名古屋に住んでいるさくちゃんが東京に出てくるので、待ち合わせて一緒に見に行きました。

f0378473_11213326.jpg

左がうつぼの個展DM、右がふじこの個展DMです。

二人とも企画展でがんばっているのはわかるけど、企画展ならではの不自由さもあるんだろうなぁと思いながら見ました。言えることはそれぐらいです。

さくちゃんと銀座の画廊を2つ見ました。さくちゃんは在廊している作家の方に気軽に話しかけて率直に感想を述べたりしていました。私にはなかなかできないことなので、うらやましかったです。

その銀座の画廊で個展をしていた作家の方との話の中で、私が今アクリル絵具を使って制作しているという話になり、「アクリル絵具っていいですか?」「日本画の絵の具に戻ったりしないんですか?」と言われました。その作家の方は油彩で描いておられました。アクリル絵具にはいい印象を持っていないようです。「何も余計なことを考えずにただ描くということができることがアクリル絵具の魅力なんですよ」と答えましたが、ぺかぺかぎとぎとの私のアクリル画を思い返すと自信がありませんでした。

私は夜に横浜で昔の職場の同僚たちと飲み会があったので、夕方に東京駅でさくちゃんと別れました。で、飲み会のメンバーは美術とは関係のない人たちでしたが、一人バードカービングを趣味にしている人がいて「アクリル絵具っていい?」とそこでも聞かれました。「ペンキと同じようなものでしょ」と。

どんな素材を使うか、何を選ぶか、美術をやっている人、やってない人でもそこをちゃんと見ているんだなぁと思いました。私が思っているよりみんな何を使うか気にして考えて暮らしているんだな。

街に暮らして部屋にいるのが好きな私。便利な暮らしだけで成り立つ生活をもうちょっとどうにかしたいと思った出来事でした。たとえば夕食に味噌汁を作る時、煮干しで出汁をとってみたりすることで何か少しでも変えられるのかも。


[PR]
by yab1610 | 2016-11-26 12:02 | 考えたこと | Comments(0)

新たなスタート

母が挿し木して育てたエンジェルストランペットに初めて花が咲きました。

f0378473_16582471.jpg

もうすぐ冬というのに。たくさん花が咲くようになったらおもしろいだろうな。

昨日のブログでは絵を描いていることの不安みたいなものをぶちまけてうろたえておりましたが、それでかえって客観的になれて今日はアクリル絵具の絵を描き始めました。

子供の頃から30歳くらいまでイラストレーションのような絵を描いていました。お話の見える絵とでもいうのでしょうか。小さい歌のような絵ともいえます。

一方で美大の学生になり、いろいろな表現とその思想にふれるようになって、また自分で絵具という材料を使うようになって気づき始めたことがありました。

40代の半ばくらいでそれまで感じたことのない感覚の扉が開くような絵画体験があり、その前と後では絵を描くときに欲するものが違ってきたと思います。

大人になったというのとは違うと思いますが、若い頃思っていたのとは違う実感が欲しいと思うようになったんだと思います。

まあ一日で答えの出るものではないけれど、今は抽象画を描く時期なんだなって今日は思いました。抽象画で年賀状を作ってみたんですけど、なんかおめでたくない(笑)。年賀状はイラストのほうがいいみたい。イラストは年賀状で一年に一回描けば良い。絵画としてはアクリル絵具とペインティングナイフという新しく出会った表現を、まだ何もわからないから不安だけど、やっていけばいいんだというのが今の答えです。

そういえばRに日本画をやめたときの心境を教えてとメールしたら、日本画をやめたつもりはないよと返事が来ました。そうだったのか。なんか焦り過ぎだな、私は。でもうかうかしてたら人生は終わってしまいそう。


[PR]
by yab1610 | 2016-11-21 17:26 | 考えたこと | Comments(0)

絵を描くから悩む

地震被害に見舞われている鳥取県の倉吉市で一度絵を展示したことがある。「菅楯彦大賞展」という展覧会で学校の先生が「あなた出しなさい」と一応推薦されたという形で出品したのだった。「現代の風俗を描く」というテーマが設定されていてそれに基づいて描くというものだった。

私は「手紙を出しに」というタイトルの絵を描いた。賞なんて取れるわけもなくただ展示してもらっただけだけど、あとから図録を見た人からいい絵だったよという言葉ももらった。

数年前までその100号の絵は物置にあったけど、両親からいつまで取っておくのか、まだ大作を描くのかと言われて自分の制作について見直し、大きい絵は捨てることにした。だからその絵は今はもうない。

今年の春にイラストで描き直してみたのがこの絵。

f0378473_13035098.jpg

岩絵具やアクリル絵の具で具体的なモチーフのある絵を描きたいという気持ちは1ミリもない。絵画を描くなら抽象画だと思っている。でもそういうふうに決めてしまったらこういう私のポエジーは表現されずになくなってしまう。それも実は耐えられないと思っている。

学生時代かっこいい日本画を描いていたRは絵画を捨てイラストで収入を得るまでになった。Kはそれまで描いていた抽象と具象のはざまを自由闊達に行き来するような絵を捨て御蔵島に移住し御蔵島をモチーフに具象絵画を描いている。

みんなそれぞれ何か選んでいる。私だけ決められない。

前回の個展は表現がばらばらだった。ドローイングあり、水彩画あり、銅版画あり、ペン画あり、アクリル画あり。材料ごとに作風も違う。あれからずいぶん経ったけれどまだどうしていいかわからない。

f0378473_13180303.jpg

私のばらばらな心のありようを描いてみた絵。「冬の木が見る春の夢」。私はどこへ行けばいいんだろう。


[PR]
by yab1610 | 2016-11-20 13:21 | 考えたこと | Comments(0)

SKちゃんに会って

2014年に最後の個展を開いてからあと、絵を描かない日々になりました。

2014年の個展では来場者が今までで一番少なく、会場で椅子に腰かけたままじっと待っている時間が多くてそれが堪えました。自分の作品も展示内容がばらばらで今まで5回にわたって開催してきた個展の意味はなんだったんだろうと考えずにいられませんでした。

自分で結果の出せない美術に不満を持ちやめてしまおうかと思いもしました。なにもする気が起きずただ時間が過ぎていきました。

友人のR(予備校時代からの友達)がイラストを仕事にしているので、私も美術をやめてイラストの世界に挑戦してみようかしらと考えました。子供の頃、ペンで絵を描いていたことが私が絵を描くことの原点だなという思いがずっとあって、ペンで描いてみることを始め、何か月かペンの絵を描いていましたがそれもやめてもうやめてしまおうと思ったのです。そして無為な日々は無気力しか生み出しませんでした。

先日Rに会うことがあり、Rがやっているのはカットの仕事だけれど、デジタル化の進んでいるイラストの世界で今でもアナログな絵が通用する世界もあるみたいだと知りました。そういうのなら挑戦してもいいのでは?と思ってやってみたのはほんの一時でした。

 
f0378473_08253294.jpg
大学の同級生SKちゃんが十数年ぶりの個展を開催しているので見に行き、SKちゃんと話しました。SKちゃんの作品はブランクを感じさせない充実したものでした。ひたすら自分と向き合って作った作品の語りかけてくることの豊かさ。何よりもSKちゃんが精いっぱい制作に打ち込んだ姿が見えて、あとになってからじわじわと「美術っていいなぁ!」という気持ちを取り戻したのです。

私にできることはたいしたことではないかもしれないけれど、やっぱりこれからも美術をやっていきたいと思っています。




[PR]
by yab1610 | 2016-10-11 08:35 | 考えたこと | Comments(0)